「Microsoft 365を導入したものの、TeamsとSharePointとOneDriveの違いが分からない」——導入支援のご相談で、最も多くいただく質問です。
結論から言うと、この3つは機能の違いを覚えても使い分けはできるようになりません。大事なのは「どのファイルを、どこに置くか」という会社としてのルールを決めることです。
この記事では、3つの役割の違いと、迷ったときの判断基準を整理します。
まず結論:3つの役割はこう違う
| 役割 | 置くもの | 見える範囲 | |
|---|---|---|---|
| OneDrive | 個人の作業場所 | 作りかけの資料、自分用のメモ | 原則、自分だけ |
| SharePoint | 組織の保管場所 | 規程、マニュアル、契約書、部署資料 | 部署・全社など指定した範囲 |
| Teams | 会話と共同作業の入口 | (実体はSharePointに保存される) | チームのメンバー |
特に誤解が多いのが3つ目です。Teamsは「保管場所」ではありません。ここを取り違えたまま運用すると、ファイルの置き場所が散らばっていきます。
OneDrive|個人の作業場所
OneDriveは「自分の机の引き出し」にあたります。他の人に見せる前提のない、作業中のファイルを置く場所です。
置くのに向いているもの
- 作成途中の資料、下書き
- 自分だけが使う集計用のExcel
- デスクトップやドキュメントフォルダのバックアップ
- 人に渡す前の一時的なファイル
置いてはいけないもの
部署やチームで共有するファイルをOneDriveに置くのは避けてください。その人が異動・退職したときに、誰もアクセスできなくなります。
管理者が引き継ぐ手続きはありますが、手間がかかるうえ、たいてい「必要になってから気づく」ことになります。共有する前提のファイルは、最初からSharePointに置くのが正解です。
SharePoint|組織で共有する場所
SharePointは「会社の書庫」です。組織として保管し、担当者が変わっても残り続けるファイルを置きます。
置くのに向いているもの
- 社内規程、就業規則
- 業務マニュアル、手順書
- 営業資料、提案書のひな形
- 契約書、見積書
- 部署・プロジェクトの共有資料
ファイルサーバーの置き換えになる理由
- 社外や自宅からでも、安全にアクセスできる
- 版が自動で記録され、以前の状態に戻せる
- ファイルの中身まで検索できる
- フォルダ単位・ファイル単位で権限を設定できる
- サーバー機器の保守や入れ替えが不要になる
ファイルサーバーの老朽化をきっかけにMicrosoft 365への移行を検討される企業が多いのは、この点が理由です。
Teams|入口であって、保管場所ではない
ここがいちばん重要です。Teamsでチームを作ると、その裏側で必ずSharePointサイトが1つ作られます。
Teamsの「ファイル」タブに置いたファイルは、実体としてはそのSharePointサイトに保存されています。つまりTeamsとSharePointは別物ではなく、同じ保管場所を、別の入口から見ている状態です。
Teams=会話しながらファイルを扱う入口。SharePoint=そのファイルが実際に置かれている場所。
だから、チームは作りすぎない方がいい
チームを1つ作るたびにSharePointサイトが1つ増えます。「とりあえず」で作り続けると、保管場所がどんどん分散し、あとから「あの資料どこだっけ」が始まります。
チームは部署単位・継続的なプロジェクト単位で作り、短期の相談はチャットやチャネルで済ませるのが基本です。
迷ったときの3つの質問
個別のファイルで迷ったら、次の順番で考えると判断できます。
1. そのファイルは、自分ひとりで使うものか
ひとりで使うなら OneDrive。誰かと共有する可能性があるなら SharePoint です。「あとで共有するかも」という時点で、SharePointに置いておく方が安全です。
2. 担当者が変わっても残す必要があるか
残す必要があるなら SharePoint。組織の資産になるファイルを個人の領域に置かない、というのが原則です。
3. 誰に見せるか、決まっているか
特定のチームだけなら Teams(=そのチームのSharePoint)。全社に見せるなら全社用のSharePointサイト。ここが曖昧なまま運用を始めると、権限の設定が後追いになります。
よくある失敗
部署の共有ファイルが、個人のOneDriveにある
もっとも多いパターンです。導入直後に「とりあえず自分のOneDriveへ」と保存し、そのまま共有リンクを配ってしまう。数か月後には、誰の領域に何があるか分からなくなります。
チームを作りすぎて、どこに何があるか分からない
案件ごと・相談ごとにチームを作った結果、数十個のチームが並ぶ状態です。命名ルールと「誰がチームを作れるか」を先に決めておくと防げます。
ファイルサーバーとSharePointを両方使い続けている
移行しきれずに併用したままだと、同じファイルが両方に存在し、どちらが最新か分からなくなります。移行では「いつ、どちらを止めるか」を決めることが、移す作業そのものより重要です。
機能を覚えるより、ルールを決める
ここまで見てきたとおり、3つのサービスの違い自体はシンプルです。実際に運用でつまずくのは、機能を知らないからではなく、「何をどこに置くか」が会社として決まっていないからです。
保存場所のルール、フォルダ構成、権限の考え方、チームの作り方。この4つを先に決めておくと、社員が迷わなくなります。
定着させる進め方については、Microsoft 365を導入したのに使われない理由と定着させる4つのステップもあわせてご覧ください。
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